風来坊主

自由気ままに綴ります

『ユートピア』 湊かなえ

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皆さん24時間のうちで自由にできる時間はどれくらいありますか?

 

毎日生活に追われ24時間から、労働。食事。掃除。洗濯。睡眠。移動。人付き合い。SNSなどに使っている時間を差し引いた時間はどれだけあるのだろうとふと思った

この自由にできる時間が多い事とその時間を有意義に使える事が幸せなひと時なのではないかと思えた

 

昨今はこの自由な時間に本を読むという行為に勤しんでいます

本日からここ最近で読んだ小説に音楽活動で感じた出来事を交えて独断と偏見でレポートしていきます

もともと昔から本を読むことは好きでしたが主に純文学やエロ本や思想哲学のジャンルやばかりを好んで読んできたので‬

‪せっかくの良い機会だし現在日本でたくさんの人に読まれている本屋に平積みされているような人気のある本に飛び込んでみようと決めました‬

‪(ハードカバーの本は読み辛く苦手なので主に文庫本になります)‬

 

‪このブログを読んでくれている人は音楽関係の人が多いと思うのでその本の内容と音楽活動で気付いたことを交えながらレポートしていきたいと思います‬

 

‪第1回目に紹介する本は湊かなえさんの‬

 

ユートピア

 

‪あらすじ‬

‪【第29回 山本周五郎賞受賞作】‬

‪善意は、悪意より恐ろしい。‬

‪足の不自由な小学生・久美香の存在をきっかけに、母親たちがボランティア基金「クララの翼」を設立。 ‬

‪しかし些細な価値観のズレから連帯が軋みはじめ、やがて不穏な事件が姿を表わす――。 ‬

湊かなえが放つ、心理サスペンスの決定版。‬

‪地方の商店街に古くから続く仏具店の嫁・菜々子と、夫の転勤がきっかけで社宅住まいをしている妻・光稀、移住してきた陶芸家・すみれ。 ‬

‪美しい海辺の町で、立場の違う3人の女性たちが出会う。 ‬

‪「誰かのために役に立ちたい」という思いを抱え、それぞれの理想郷を探すが――。‬

‪【Amazon内容紹介より】

 

 

どの本屋さんへ行っても湊かなえさんの本がプッシュされていました

おそらく現在、日本で一番 読まれている作家さんなのではないかと思い手を伸ばしてみました

 

‪本の帯の『善意は、悪意より恐ろしい』という表現に殺られて読んでみようと思いました‬

‪小さな田舎町の話でその人物の生活や噂や悪口などが筒抜けになってしまい常に皆んなが皆んなを監視しあっている

一言、刺激的な言葉を発してしまえば瞬く間に広がってしまうというのは自分が活動している音楽界隈の狭いコミュニティに近いと感じで親近感を覚えました‬

 

‪ライブハウスやSNSなどで知り合いが充実した音楽活動で楽しそうにしているのを妬んだり、足を引っ張ろうとしたりして人が成功しているのを良く思わない人はいます。悲しいけど割と多いと思います。まぁそれが現実でもあります。

 

‪表面上は仲よさそうでも腹の中は憎悪で煮えくり返っている様は音楽活動をやっていてたまに感じたりもします‬

‪劣ってもダメ。秀ででもダメ。みんな成功を願って活動しているはずなのに負のエネルギーからくる集団意識や同調圧力って面倒くさいですよね。

まさに日本人ならではの『日本社会の縮図』って感じで怖いですね‬

‪この本はそんな人間関係のリアルな描写が辛辣に書かれています‬

 

‪印象的だったのがお祭りで各自が手作りの作ってきた物を売るというシーンがあるんだけど周りの人が作ってきた物はどんどん売れていくのに1人だけ全く売れないという描写がありました‬

それに対して優越感だったり侮辱心だったり悲壮感だったり同情心だったり人間の心の底で思っている感情が露わになる

 

‪この感じはライブハウスの物販でたまに見かけるし自分達も体験したりもします。‬

‪お客さんはわからないかもしれないですがLiveが終わり物販でお客さんはその日どのミュージシャンが気に入り誰の音源を買おうとしているのか‬気になって仕方がなかったりしてます

お客さんが物販コーナーに‪行ったその瞬間。

ライブハウス内はミュージシャンのチラ見のし合いで全員の視線や頭の中はそんなイヤラシイ事で頭がいっぱいだったりもします‬

 

‪あの時、心の中でミュージシャン同士で勝った負けた的な優越感や敗北感などの変な空気が流れがちです

 

‪優越感に満たされたミュージシャンはライブハウスにいる皆んなに聞こえるように大きな声で『ありがとうございます!』とこれ見よがしにお礼を言ったりする人がいますよね‬

言った後にチラッとこちらの表情を伺ってきたりもします

 

‪誰も悪くないし避けられない事柄ですがあのライブハウス内で流れる勝ち負け的なシビアな空気感は超苦手です‬

苦手過ぎて笑ってしまいそうにもなります。

 

‪この小説に大好きな一文があったので紹介します‬

‪63ページから抜粋‬

‪『この町では図太いもの勝ちだ。深く考えることをせず、脳と口が直結しているデリカシーに欠ける人たちは、さぞかし楽しい日々を過ごしているのだろう』‬

‪あるあると感じ思わず笑ってしまいました。大嫌いな人種です。こういう奴ミュージシャンにまあまあいます。‬

‪そんな奴ほど順調に音楽活動できたりもしています(偏見ですがメロコア系に多いかなって印象です)‬

 

 

ユートピア『78点』でした‬

 

‪後半は少しグダッとしましたが湊かなえさんはこんな人間の触れてはいけない柔らかな部分を素手で鷲づかみにしてしまう辛辣な作家さんだと思い好感が持てました。

皆さんのユートピアは何処ですか?現在そのユートピアにはいますか?

そんな考えさせられる作品でした。オススメです‬

 

 

‪今後もこんな感じて月に2、3回程度読んだ本を音楽活動に交えて独断と偏見を満載にレポートしていきます‬

 

‪感想や意見。読んでみるぞ!読んだことあるぞ!この本も面白いよ!なんて意見がありましたらオススメしてくれると嬉しいです。

もちろん心の中で思ってくれるだけでも嬉しいです‬

 

‪ではまたね!チャオ!!‬